新たな試みを進めるBTC調教場
公益財団法人 軽種馬育成調教センター(BTC)が管理運営するBTC調教場(図1)は、皆様の強い馬づくりをサポートする施設として平成5年の開場より今年で26年目を迎えます。これまでに数多くの活躍馬が輩出され、また昨年は、開場からの利用延べ頭数が300万頭に達するなど、多くの皆さまに支えられてまいりました。
令和という新たな時代を迎え、BTC調教場では、さらなる強い馬づくり、そして利用者の皆様の利便性向上を図るため、馬場管理や利用方法について、新たな試みに取り組んでおりますので、その一部についてご紹介します。
図1.JRA日高育成牧場およびBTC調教場全景
1. 馬場管理
BTC調教場は、夏季には11の調教施設がご利用いただけます。そのうち、屋内1,000m直線ウッドチップ馬場および屋内1,000m坂路ウッドチップ馬場(図2)につきましては、一昨年からウッドチップの管理方法を根本から見直し、従来のものより負荷をかけられる馬場へと改修しております。改修後2年が経過しておりますが、ご利用いただいている皆様からは好評価をいただいています。
図2.より運動負荷がかけられる馬場へ改修された屋内1,000m坂路ウッドチップ馬場。一年を通じ、天候にかかわらずご利用いただけるうえ、馬の前肢の負担を軽減しながら、後躯の鍛錬に有効です。
また、その他の屋内施設として、屋内600mトラック砂馬場もご利用いただけます。一般的に砂場馬は砂粒の細粒化等によって除々にクッション性が失われるとされていますが、BTCでは、2年周期で砂の全面入替えを行い、良好な馬場の維持管理に努めています。
さらに、屋外馬場は、早期からの除雪作業等により3月下旬には1,600mトラック砂馬場(図3)をいち早く開場しております。続いて、4月上旬までに1,200m・1,600m直線砂馬場(図4)、800mトラック砂馬場を順次開場しております。
これらは適時レベルハローで砂厚を測定し、適正な砂厚調整や砂の補充等の馬場管理に努めています。
図3.1,600mトラック砂馬場は、競馬場に匹敵する大きさの馬場で、より実践的なトレーニングが行えます。
図4. 1,200m・1,600m直線砂馬場は、馬の直進走行性を養い、インターバルトレーニングに適した馬場です。また、発馬機も設置していますので、ゲート練習も可能です。
グラス馬場(図5)は、芝が凍上により隆起するため、馬場全面にローラーによる転圧作業を行うなど安全面に考慮し、開場時期を5月中旬からとさせていただいております。
なお、競馬場に準じた整備を行っております直線2,000m芝馬場は、今年も無料開放しております(馬場利用料以外の追加料は不要です)。ぜひ一度ご利用ください。
図5.グラス馬場は、広々とした平坦な草原馬場です。柵に頼らず走らせることで、馬本来の自然な走りを助長します。また、2,000mの直線芝馬場は、 実際の競馬場に準じた整備を行っており、入厩前の最終調整や芝適性の判断にご活用いただけます。
2. 1歳馬の利用時期の変更
近年、2歳戦の開始時期の早期化に伴い1歳馬の馴致時期も早まり、7月セリ終了後から育成牧場へ移動する馬が増加しています。このことに対応するため、BTCでは1歳馬の利用開始時期を1歳9月から1歳7月へと早めることとしました。さらに一昨年には、滞在馬房利用馬用にラウンドペン(丸馬場)を竣工し、初期馴致にも対応できるようになりました。加えてウォーキングマシーン(図6)も設置し、ウォーミングアップやクーリングダウン、休日の馬体調整等、ご利用の皆さまからは好評をいただいております。
図6.ウォーキングマシーンは1基で同時に6頭の運動が可能です。BTCでは、南地区に3基、北地区に2基の計5基を設置しています。また、ラウンドペンは南地区に2基、北地区に1基を設置しています。
3. 滞在期間の延長
ご利用される方々の利便性向上のため、滞在馬房の利用期間を従来の4ヵ月から6ヵ月に延長しました。また、遠方(静内およびえりも以遠)からご来場される場合は、上記に限らず長期利用が可能ですのでご相談ください。
4. お試し期間の導入
BTC調教場のご利用をご検討中の方を対象に、お試し期間も設けております(ご利用歴のない方限定、ご利用される際の調教責任者申請は不要です)。馬運車による日帰り利用はもちろん、滞在馬房・宿舎(1週間程度)もご利用いただけますので、ぜひ一度、バラエティーに富んだBTC調教場をご体感いただければ幸いです。
詳細(施設使用料等)についてのお問い合わせは、下記までご連絡ください。
公益財団法人 軽種馬育成調教センター
業務部業務第1係 南詰所 0146-28-1788
公益財団法人 軽種馬育成調教センター 業務部 業務課長 小山 広