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2019年12月24日 (火)

日高育成牧場見学バスツアー

No.127(2015年7月1日号)

もうひとつの情報発信
 日高育成牧場の主たる業務は、皆様ご存知の通り、JRA育成馬、JRAホームブレッドを用いた競走馬に関する生産から後期育成にかかる調査研究とその成果の普及です。飼養管理や草地管理も含め、この連載を始めとし様々な媒体を用いて情報発信を行っています。一方で、そのような専門的な情報発信だけではなく、当場では競走馬の育成を行っている施設という特性を活かし、競馬ファンや競馬のことをあまりご存知でない方に対する情報発信の取組みも積極的に行っています。
今回はその中から、夏の恒例イベントとして定着してきた場内をバスで回って案内する日高育成牧場見学バスツアーをご紹介いたします。

見学バスツアーの歴史
 現在のような形での見学バスツアーが始まったのは平成16年からになります。その年は日本中央競馬会創立50周年にあたり、その記念イベントの一環として企画されました。7月~9月にかけての隔週水曜日、場内見学を軸に研究施設見学としてのトレッドミルの実演や体験乗馬、9月には初期馴致の様子などを組み込んでいました。初年度は7日間の実施に対し、81名の参加でした。
参加された方のアンケート結果も高評価であったため、翌年以降も継続実施することが決まり、平成17年には7月~9月の毎週水曜日に、平成18年からは7月~9月の毎週水・金曜日にと実施日も徐々に増えていきました。参加人数も順調に増え、おかげさまで昨年は35日間の実施に対し、448名もの方に参加いただきました。
今年度は7月~9月の毎週水・金曜日と10月の毎週水曜日に7月18日、8月15・29日、9月5日の特定土曜日を加えた35日間実施する予定となっています。

ツアーの内容
 見学ツアーでは、場内の各調教施設の見学とそれを利用する馬たちの調教の様子を基本に、幾つかの特別プログラムを組み合わせて紹介しています。
1,600mダートトラック、広大なグラス馬場、1,000m屋内直線馬場といった個々の調教施設の大きさ、それを一望できる見晴台からの景色(写真1)、間近で見る競走馬の迫力は馬産地日高ならではの見所で、このツアーのハイライトです。

1 写真1 見晴台からの景色
左手奥に1000m屋内直線馬場が見える

 特別プログラムは、時期によって内容が変わるお楽しみ企画です。前半は当場生産馬であるJRAホームブレッドの子馬とのふれあいの場を設け(写真2)、それに体験乗馬(写真3)もしくはポニーショーを組み合わせています。後半に入ると、研究業務と手術室やトレッドミルなど現場の紹介、競走馬にとって大事な装蹄に関する説明と造鉄実演(写真4)、9月中旬以降の初期馴致(ブレーキング)見学などとなり、一年の間でも時期をずらしていただければ、異なった内容のプログラムが楽しめます。実際、同じ年に何度も来られるリピーターの方もいらっしゃいます。

2 写真2 ツアー参加者と子馬とのふれあい
多くの人に囲まれることは子馬にとってもよい馴致となる

3 写真3 体験乗馬

4 写真4 造鉄実演

参加者の反応
 競走馬の育成の様子を見るというのは、一般の観光の方は勿論、長年、競馬に親しんできたファンの方にとっても珍しい体験のようです。施設見学の際も、馬が調教している様子を皆さん食い入るように見つめていますし、特別プログラムでも初期馴致(ブレーキング)見学には興味津々の様子で、『こういう事をやっているとは今まで全く知らなかった』という感想もよく頂きます。
子馬とのふれあいや体験乗馬、ポニーショーなどはちょうど夏休みと重なっていることもあり、親子連れの方々に大変好評です。

最後に
 JRAの施設は土日の競馬開催と密接な繋がりのあるものがほとんどです。その中にあって日高育成牧場は独特の立ち位置にある施設といえます。
サラブレッドとして生を受けた子馬たちが競走馬として競馬場で走るまでの間にどのような過程を経ているのか、どれだけの人が関わっているのかについては、見学ツアーの中でも自然と熱が入った説明になります。『今後は今までとは違った視点で競馬を見ることができます』といった感想もよく頂きますが、これを理解してもらえるのは我々にとっても大変うれしいことです。
これからも、日高育成牧場ならではの取組みで競走馬や競馬の魅力を発信して行きたいと考えています。今年度の見学ツアーのご案内は、JRAホームページに日高育成牧場でのイベントとして掲載しております。皆様のお越しをお待ちしております。

(日高育成牧場 総務課長  工藤 栄治)

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